夏休みの水遊びで子どもがなりやすい皮膚トラブル|予防・対策・受診の目安を皮膚科医が解説

夏休みの水遊びで子どもがなりやすい皮膚トラブル|予防・対策・受診の目安を皮膚科医が解説

名古屋市東区の皮膚科クリニック 名古屋あおいクリニック


はじめに

夏休みシーズンになると、川・海・プールでの水遊びを楽しむお子さんが増えます。楽しい夏の思い出の一方で、水遊び後に皮膚のトラブルが起きてしまうケースが多く見られます。

「プールから帰ったら体中が赤くかゆい」「海水浴後に肌がぶつぶつになった」「川で遊んだ後に足がかぶれた」「水いぼが急に増えた」——

夏の水遊びに関連した皮膚トラブルは、適切な予防と早めの対処で多くを防げます。

今回は、川・海・プールそれぞれの水遊びで子どもになりやすい皮膚症状・原因・予防・対策・受診の目安について、名古屋市東区の皮膚科・名古屋あおいクリニックが詳しく解説します。


【プール編】プールで起きやすい皮膚トラブル

① 塩素性皮膚炎(プール後の赤み・かゆみ)

原因

プールの水には、雑菌の繁殖を防ぐために塩素が添加されています。この塩素が皮膚のバリア機能を低下させ、乾燥・炎症・かゆみを引き起こします。

症状

  • 全身の赤み・かゆみ
  • 皮膚の乾燥・ざらつき
  • 目の充血・かゆみ(結膜炎)
  • 髪・頭皮の乾燥・パサつき

なりやすい子ども

  • アトピー性皮膚炎がある
  • 乾燥肌・敏感肌
  • 皮膚のバリア機能が低下している

予防・対策

  • プール前にワセリン・保湿クリームを全身に薄く塗る(バリア機能を保護)
  • プール後はシャワーで塩素をしっかり洗い流す
  • シャワー後すぐに低刺激の保湿剤を全身に塗る
  • 長時間のプールは避ける
  • アトピーがある場合は特にケアを念入りに

治療

軽症であれば保湿ケアで改善することが多いです。かゆみ・炎症が強い場合は、ステロイド外用薬・抗ヒスタミン薬内服を使用します。


② 水いぼ(伝染性軟属腫)の感染・増殖

原因

伝染性軟属腫ウイルス(MCV)が原因の皮膚の感染症です。プールの水中では感染しませんが、プール前後のシャワー室・脱衣室でのタオル・浮き輪・ビート板の共有によって感染が広がります。

症状

  • 中央に小さな凹みがある、光沢のある丸いぶつぶつ
  • 1〜5mm程度の大きさ
  • 脇の下・体幹・肘の内側などに多い
  • かゆみがあると搔いて急速に広がる

予防・対策

  • タオル・浮き輪・ビート板の共有をしない
  • プール後はシャワーで体を洗い清潔に保つ
  • 皮膚を保湿し、バリア機能を整える
  • 水いぼを搔かない(ガーゼ・絆創膏で覆うのも有効)

プールへの参加について

医学的には水いぼがあってもプール参加は基本的に可能です。学校・施設の方針により診断書が必要な場合はご相談ください。


③ とびひ(伝染性膿痂疹)

原因

黄色ブドウ球菌・連鎖球菌などの細菌が皮膚の傷・虫刺され・水いぼなどから侵入して起こる細菌性皮膚炎です。夏に多く、プール後に悪化することがあります。

症状

  • 水疱・びらん(ただれ)・黄色いかさぶた
  • 急速に周囲に広がる(「飛び火する」ように広がる)
  • かゆみを伴う
  • 発熱することがある(重症例)

感染力

とびひは感染力が強く、直接接触・タオルの共有などで他の子どもにうつります。とびひがある間はプールへの参加を控えてください。

予防・対策

  • 虫刺され・傷を搔きむしらない
  • 爪を短く清潔に保つ
  • 傷ができたらすぐに洗浄・消毒・保護する
  • タオルの共有を避ける

治療

抗生剤の外用薬・内服薬(重症例)による治療が必要です。自然に治ることは少なく、悪化・拡大しやすいため、早めに皮膚科を受診してください。


④ 水泳耳(外耳炎)

原因

プールの水が耳に入り、外耳道が長時間湿った状態になることで細菌・真菌が繁殖して起こる外耳炎です。

症状

  • 耳のかゆみ・痛み
  • 耳から分泌物が出る
  • 耳が詰まった感じ

予防・対策

  • プール後は耳をしっかり乾かす(ドライヤーの弱い温風を少し離して当てる)
  • 綿棒で耳の中を強くこすらない(傷をつけてしまう)
  • 耳栓の使用(外耳炎を繰り返す場合)

【海水浴編】海で起きやすい皮膚トラブル

① 日焼け・日光皮膚炎(サンバーン)

原因

紫外線(UV-AおよびUV-B)による皮膚へのダメージです。海辺は砂浜や海面からの紫外線の反射があるため、日陰でも紫外線量が多く、日焼けが起きやすい環境です。

症状

軽症(サンバーン)

  • 日焼け後数時間〜翌日に赤み・ほてり・痛みが出る
  • 数日で改善する

重症(日光皮膚炎)

  • 強い赤み・水疱形成
  • 痛み・発熱
  • 広範囲の場合は脱水・吐き気などの全身症状

子どもの日焼けは特に注意

子どもの皮膚は大人より薄く、紫外線ダメージを受けやすいです。幼少期の強い日焼けが、将来の皮膚がん・光老化リスクを高めることが研究で示されています。

予防・対策

紫外線対策の基本「5S」

  • Sunscreen(日焼け止め):SPF30以上・PA+++以上のものを外出30分前に塗る。2〜3時間ごとに塗り直す
  • Shade(日陰):テント・パラソルを活用し、直射日光を避ける
  • Shirt(衣類):ラッシュガード・UVカット素材の衣類を着る
  • Sunglasses(サングラス):目の紫外線対策
  • Schedule(時間帯):紫外線が最も強い10〜14時の外出を控える

子ども用日焼け止めの選び方

  • ノンケミカル(紫外線散乱剤のみ:酸化亜鉛・酸化チタン)タイプが肌への刺激が少ない
  • 無香料・無着色・低刺激
  • SPF30以上・PA+++以上
  • 汗・水に強いウォータープルーフタイプ

日焼け後のケア

  • 流水で十分に冷やす(10〜15分程度)
  • 刺激の少ない保湿剤を塗る
  • 水疱ができている場合は自分でつぶさない
  • 発熱・広範囲の水疱・全身症状がある場合はすぐに皮膚科・医療機関へ

② クラゲ皮膚炎・海洋生物による刺傷

原因

クラゲ・アンドンクラゲ・カツオノエボシなどの触手に触れることで、毒が皮膚に注入されて起こるアレルギー性・毒素性の皮膚炎です。

症状

  • 触れた部位に線状・縞状の赤み・かゆみ・痛み
  • 水疱・びらんが起きることがある
  • 重症の場合:全身のアレルギー反応(アナフィラキシー)

予防・対策

  • クラゲが多い時期・場所での遊泳を避ける
  • ラッシュガード・水着で皮膚の露出を減らす
  • 海に入る前に海の状況・クラゲ情報を確認する

応急処置

  • 触手が皮膚に残っている場合は素手で触らず、海水で洗い流す(真水は毒素を放出させる可能性があるため注意)
  • カード・貝殻などで触手をかき取る
  • 患部を冷やす
  • 症状が強い・全身症状がある場合は救急へ

③ 砂浜・珊瑚での擦り傷・切り傷感染

原因

砂浜・岩・珊瑚礁での転倒・接触による擦り傷・切り傷に、海水中の細菌(ビブリオ菌・緑膿菌など)が感染することがあります。

症状

  • 傷の周囲の赤み・腫れ・化膿
  • 痛みが強くなる
  • 発熱(重症感染の場合)

予防・対策

  • マリンシューズを着用して素足での歩行を避ける
  • 傷ができたらすぐに流水で洗浄し、消毒・絆創膏で保護する
  • 海水浴後は傷の状態を確認する

治療

傷が化膿・悪化している場合は皮膚科・外科を受診してください。


④ 海水・砂による接触性皮膚炎

原因

海水(塩分)・砂・日焼け止め・虫よけスプレーなどが皮膚に刺激を与えて起こる炎症です。

症状

  • 水着の当たる部分・砂が入りやすい部位の赤み・かゆみ
  • 皮膚の乾燥・ひりひり感

予防・対策

  • 海水浴後は真水でしっかり砂・海水を洗い流す
  • 低刺激の保湿剤でしっかり保湿する
  • 水着の素材を肌に優しいものに変える

【川遊び編】川で起きやすい皮膚トラブル

① 川の生物・植物による皮膚炎

原因

川の水中・川辺の植物(ウルシ・ヤマウルシ・イラクサなど)・川の生物(ヒル・ゲジゲジなど)との接触で起こる皮膚炎です。

ウルシかぶれ(漆皮膚炎)

  • ウルシ・ヤマウルシに含まれるウルシオールによる強いアレルギー性接触皮膚炎
  • 接触から12〜48時間後に強いかゆみ・赤み・水疱が出現
  • 顔・まぶた・腕などに広がりやすい
  • 症状が非常に強くステロイド外用薬・内服が必要なことが多い

ヒル(山ヒル・川ヒル)

  • 吸血後に痒みと出血が持続することがある
  • 傷口の感染に注意

予防・対策

  • 川辺の植物に素手で触れない
  • 長袖・長ズボン・マリンシューズを着用
  • 川に入る前後は流水で手足を洗う

② 川での水質による皮膚炎

原因

川の水には、土壌中の細菌・真菌・藻類・農薬などが含まれていることがあります。これらが皮膚に触れることで皮膚炎が起きることがあります。

特に注意:アオコ(藍藻類)

夏の気温上昇により、湖・川でアオコ(藍藻・シアノバクテリア)が大量発生することがあります。アオコには毒素(シアノトキシン)を産生するものがあり、皮膚に触れると皮膚炎・かゆみの原因になります。

症状

  • 皮膚の赤み・かゆみ・発疹
  • 目の充血・かゆみ(目に入った場合)

予防・対策

  • アオコが発生している川・池には入らない
  • 水遊び後はすぐにシャワーで体を洗う

③ 川での日焼け

川での遊びも海と同様に、水面・砂地からの紫外線反射があり、気づかないうちに強い日焼けを起こすことがあります。山間部の川では、空気が澄んでいるため紫外線量が多いことがあります。

海水浴と同様の日焼け対策(日焼け止め・ラッシュガード・時間帯の選択)を行ってください。


水遊び全般に共通する皮膚トラブルと予防

① 虫刺され・虫刺され後の感染

夏の水辺は蚊・ブヨ・アブ・ハチなどが多い環境です。

ブヨ(ブユ)刺されは特に注意

ブヨは川・渓流付近に多く生息し、蚊と異なり皮膚を咬んで吸血します。

ブヨ刺されの特徴

  • 刺された直後はほとんど痛みがない
  • 数時間後に強いかゆみ・腫れが出現する
  • 患部が大きく腫れ上がることがある
  • かゆみが1〜2週間続くことがある
  • 搔きむしるととびひ・蜂窩織炎に移行することがある

予防・対策

  • 長袖・長ズボン・靴下を着用(特に川辺)
  • 虫よけスプレー(ディート・イカリジン配合)を使用する
  • 刺された後は搔かず、冷やして抗ヒスタミン薬を服用する
  • 腫れが強い・化膿してきた場合は皮膚科へ

子ども用虫よけの選び方

  • ディート濃度:12歳未満は12%以下(6ヶ月〜2歳未満は1日1回まで)
  • イカリジン(ピカリジン):年齢制限なし・肌への刺激が少ない
  • ムラなく塗布し、服の下も保護する

② 熱中症・脱水による皮膚への影響

夏の水遊び中は夢中になってしまい、熱中症・脱水を起こすことがあります。

脱水状態になると皮膚のバリア機能が低下し、皮膚トラブルが起きやすくなります。

予防

  • こまめな水分補給(30分ごとに摂取)
  • 経口補水液・スポーツ飲料を活用
  • 定期的な休憩・日陰での休憩

アトピー性皮膚炎がある子どもへの特別な注意

アトピー性皮膚炎がある子どもは、皮膚のバリア機能が低下しているため、水遊びによる皮膚トラブルが起きやすいです。

特に気をつけること

  • プール(塩素)・海水(塩分)・川(細菌・不純物)すべてが皮膚への刺激になりうる
  • 水遊び前に保湿剤・ワセリンでバリア保護を行う
  • 水遊び後はすぐにシャワーで洗い流し、保湿ケアを行う
  • 日焼け止めは低刺激・ノンケミカルタイプを選ぶ
  • 水遊び後にかゆみ・炎症が悪化した場合はステロイド外用薬を早めに使用する
  • 水いぼ・とびひへの感染に特に注意する

事前に皮膚科でコントロール状態を確認し、水遊びシーズンの皮膚ケア計画を立てておくことをおすすめします。


水遊び後の基本スキンケア

① 水遊び後すぐにシャワー

塩素・海水・砂・泥・日焼け止め・虫よけを、ぬるま湯と低刺激のボディソープでしっかり洗い流します。

② 優しく水気をふき取る

タオルでゴシゴシ擦らず、優しく押さえるように水気を取ります。

③ 保湿を忘れずに

水遊び後は皮膚が乾燥しやすい状態です。水気を取った後すぐ(3分以内)に保湿剤を塗ります。

④ 日焼けした皮膚のケア

  • 流水・冷タオルで十分に冷やす
  • アロエベラ・低刺激の保湿剤で保湿
  • 刺激の強い成分(アルコール・香料)は避ける

⑤ 傷・虫刺されの確認

水遊び後は全身の傷・虫刺され・皮膚の変化を確認する習慣をつけましょう。


受診の目安

以下の症状がある場合は、皮膚科への受診をおすすめします。

✔ 水遊び後に全身の強いかゆみ・赤みが2〜3日以上続いている

✔ 水疱・びらん・じくじくが出てきた

✔ 黄色いかさぶた・膿が出てきた(とびひの疑い)

✔ 傷が腫れてきた・熱を持っている(細菌感染の疑い)

✔ クラゲに刺されて症状が強い

✔ ウルシ・植物に触れてひどくかぶれている

✔ 水いぼが急激に増えた・100個近くある

✔ 日焼けで水疱ができている・発熱している

✔ 市販薬を使っても2週間改善しない

✔ アトピーが悪化して眠れないほどかゆい


まとめ

夏休みの水遊びで子どもになりやすい皮膚トラブルは、

プール

  • 塩素性皮膚炎(赤み・かゆみ・乾燥)
  • 水いぼの感染・増殖
  • とびひの悪化・感染
  • 外耳炎

  • 日焼け・日光皮膚炎
  • クラゲ皮膚炎
  • 擦り傷・切り傷の感染
  • 砂・海水による接触性皮膚炎

  • ウルシかぶれ・植物による接触性皮膚炎
  • 川の水質による皮膚炎・アオコ
  • 日焼け
  • ブヨ・虫刺され

予防の基本は、

✅ 日焼け止めをしっかり塗る(SPF30以上・こまめに塗り直す)

✅ 水遊び後はすぐにシャワーで洗い流す

✅ 保湿ケアを怠らない

✅ タオル・浮き輪・ビート板の共有を避ける

✅ 傷・虫刺されを搔かない

✅ アトピーがある場合は事前の皮膚科受診で準備を整える

楽しい夏の思い出のために、水遊びの前後のスキンケアを習慣にしましょう。

名古屋市東区の皮膚科・名古屋あおいクリニックでは、夏の皮膚トラブル全般についてご相談をお受けしています。「水遊び後から皮膚の調子が悪い」という場合は、お気軽にご相談ください。


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