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帯状疱疹後神経痛(PHN)とは?原因・症状・治療・予防を名古屋あおいクリニック(名古屋市東区・皮膚科)が詳しく解説
帯状疱疹後神経痛(PHN)とは?原因・症状・治療・予防を名古屋あおいクリニック(名古屋市東区・皮膚科)が詳しく解説
「帯状疱疹の発疹は治ったのに、ズキズキ・ビリビリした痛みだけが残っている」「衣服が触れるだけで激しい痛みがある」「夜も眠れないほどの痛みが何ヶ月も続いている」——このような状態が帯状疱疹後神経痛(PHN)です。帯状疱疹後神経痛は適切な治療を受けることで改善できますが、放置すると慢性化・難治化するリスクがあります。名古屋市東区の皮膚科・名古屋あおいクリニックが、帯状疱疹後神経痛の原因・症状・治療法・予防まで、わかりやすく詳しく解説します。
目次
- 帯状疱疹後神経痛(PHN)とは何か
- 帯状疱疹とPHNの関係——なぜ痛みが残るのか
- PHNになりやすい人・リスク因子
- PHNの症状——どんな痛みが起こるのか
- PHNの診断基準
- PHNと間違えやすい疾患
- 【治療法①】プレガバリン・ミロガバリン(神経障害性疼痛治療薬)
- 【治療法②】三環系抗うつ薬(アミトリプチリン等)
- 【治療法③】オピオイド鎮痛薬
- 【治療法④】外用薬(リドカイン・カプサイシン)
- 【治療法⑤】神経ブロック療法
- 【治療法⑥】その他の治療・補助療法
- PHNの治療ステップ(治療の進め方)
- PHNを予防するために——帯状疱疹の早期治療の重要性
- 帯状疱疹ワクチンによるPHN予防
- PHNが日常生活・心理面に与える影響
- よくある質問(FAQ)
- 名古屋あおいクリニックでの診療について
1. 帯状疱疹後神経痛(PHN)とは何か
**帯状疱疹後神経痛(PHN:Postherpetic Neuralgia)**とは、帯状疱疹の皮膚症状(発疹・水疱)が治癒した後も、発症部位に痛みが持続する状態です。
帯状疱疹後神経痛の定義は研究者・ガイドラインによって若干異なりますが、一般的には帯状疱疹発症から3ヶ月以上(一部では1ヶ月以上)にわたって持続する疼痛として定義されることが多いです。
PHNの頻度
帯状疱疹を発症した人のうち、約10〜30%がPHNへ移行するとされています。年齢が上がるほどPHNのリスクは高まり、60歳以上では約40〜50%がPHNに移行するという報告もあります。
日本では帯状疱疹の年間罹患数が約60〜70万人とされており、その中でPHNに移行する患者数は相当数にのぼります。「帯状疱疹は治ったはずなのに痛みが残っている」という状態で放置されているケースが少なくないのが現状です。
2. 帯状疱疹とPHNの関係——なぜ痛みが残るのか
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、幼少期に水ぼうそう(水痘)に罹患したときに体内に潜伏したままになっていた**水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:Varicella-Zoster Virus)**が、免疫力の低下をきっかけに再活性化することで生じます。
ウイルスが神経節(脊髄後根神経節など)で増殖し、神経に沿って皮膚まで広がることで、片側性に帯状に広がる発疹・水疱と強い疼痛が生じます。
なぜ痛みが残るのか(PHNのメカニズム)
PHNが生じる主な原因は、**帯状疱疹ウイルスによる神経への直接的なダメージ(神経障害)**です。
① 末梢神経の損傷 VZVが神経内で増殖・炎症を起こすことで、感覚神経(Aδ線維・C線維)が損傷されます。
② 中枢感作(Central Sensitization) 末梢神経の持続的な傷害シグナルが脊髄後角・大脳皮質に伝達され続けることで、中枢神経系が過剰に感作(敏感化)された状態になります。これにより、本来は痛みを引き起こさないような弱い刺激(衣服の接触・風など)でも強い痛みを感じるようになります(アロディニア)。
③ 抑制系の損傷 痛みを抑制する下行性抑制系(セロトニン・ノルアドレナリン系)も損傷を受けることで、痛みが増幅されます。
④ 異所性インパルスの発生 損傷した神経線維が異常な電気信号(異所性インパルス)を発生させ続けることで、持続的な痛みが生じます。
このような末梢・中枢の複合的な神経障害が慢性的に持続することで、PHNの難治性・慢性性がもたらされます。
3. PHNになりやすい人・リスク因子
以下の因子がある場合、帯状疱疹後神経痛への移行リスクが高まります。
高齢(最大のリスク因子)
年齢はPHNの最も重要なリスク因子です。50歳以上から急激にリスクが上昇し、70歳以上では特に高リスクとなります。高齢になるほど免疫機能が低下し、神経の修復能力も低下するためです。
急性期の痛みが強い
帯状疱疹発症直後の急性期の痛みが強いほど、PHNへの移行リスクが高まります。急性期に適切な疼痛管理を行うことが重要です。
発疹が広範囲・重症
皮膚症状(発疹・水疱)が広範囲にわたるほど、ウイルスによる神経ダメージが大きくPHNリスクが高まります。
発症部位
三叉神経領域(顔面・眼・額)や頸部〜上肢に生じた帯状疱疹はPHNに移行しやすいとされています。特に眼部帯状疱疹(眼帯状疱疹)は重症化・PHN移行リスクが高い病変です。
免疫機能の低下
糖尿病・悪性腫瘍・HIV感染・免疫抑制剤・ステロイド使用などで免疫機能が低下している方は、帯状疱疹そのものの重症化とPHN移行リスクが高まります。
抗ウイルス薬の治療開始が遅れた
帯状疱疹の急性期に抗ウイルス薬(アシクロビル・バラシクロビル・ファムシクロビル)の投与開始が遅れた場合、ウイルスによる神経ダメージが大きくなりPHNリスクが高まります。発疹出現から72時間以内の抗ウイルス薬開始が推奨されています。
心理的因子
不安・抑うつ・ストレスが強い場合、PHNへの移行リスクが高まるとともに、PHNの痛みをより強く感じやすくなることが知られています。
4. PHNの症状——どんな痛みが起こるのか
主な痛みの種類
PHNの痛みはいくつかのタイプが混在することが多く、非常に多彩です。
自発痛(何もしなくても続く痛み)
- ズキズキ・ドクドクする拍動性の痛み
- 焼けるような灼熱感(バーニング感)
- ビリビリ・ピリピリする電気ショックのような痛み
- 刺さるような・締め付けられるような痛み
- 重苦しい・うずくような持続痛
誘発痛(刺激で起こる痛み)
- アロディニア(異痛症):通常では痛みを引き起こさないような弱い刺激(衣服の触れ・そよ風・シャワーの水)でも激しい痛みが生じる。PHNの最も特徴的な症状のひとつ
- 痛覚過敏:通常の痛み刺激に対して過剰に強い痛みを感じる
その他の感覚異常
- しびれ・うずき・かゆみが混在する
- 感覚鈍麻(触った感覚が鈍い)と痛覚過敏が同じ部位に混在する矛盾した感覚
- 「皮膚の表面が常に焼けている」「虫が這っているような感覚」
痛みの分布
痛みは帯状疱疹が発症した神経の支配領域(デルマトーム)に沿って出現します。体の片側に限局し、左右対称にはなりません。
好発部位(頻度順)
- 胸部・肋間神経領域(最も多い)
- 三叉神経領域(顔面・額・眼周囲)
- 頸部・上肢領域
- 腰部・下肢領域
痛みの程度と生活への影響
PHNの痛みはしばしば非常に強烈で、VAS(Visual Analogue Scale)やNRS(Numerical Rating Scale)で7〜10/10と評価されるほどの激痛を訴える患者も少なくありません。
- 衣服が着られない
- 布団・シーツが触れるだけで眠れない
- 入浴・シャワーが困難
- 集中力の著明な低下
- 日常生活・仕事・社会活動への重大な支障
5. PHNの診断基準
PHNの診断は主に以下の要素に基づいて行われます。
①帯状疱疹の既往 帯状疱疹(片側性の帯状発疹・水疱)の発症歴を確認します。
②疼痛の持続期間 発症から3ヶ月以上(定義によっては1ヶ月以上)疼痛が持続していること。
③疼痛の性状・分布 神経障害性疼痛の特徴(灼熱感・ビリビリ感・アロディニア)が、帯状疱疹発症部位(デルマトーム)に一致して存在すること。
④神経障害性疼痛の評価尺度 DN4(Douleur Neuropathique 4 questions)やNPSI(Neuropathic Pain Symptom Inventory)などの質問票で神経障害性疼痛の特徴を確認します。
⑤他疾患の除外 類似した症状を呈する他の疾患(肋間神経痛・三叉神経痛・脊髄疾患など)を除外します。
6. PHNと間違えやすい疾患
PHNの症状は他の疾患と似ていることがあり、正確な鑑別が重要です。
肋間神経痛
胸部・肋間のPHNと症状が似ていますが、帯状疱疹の既往がない点で区別されます。
三叉神経痛
顔面の電撃様疼痛が特徴ですが、通常は一側顔面に限局した短時間の発作性の痛みであり、PHNのような持続する灼熱感・アロディニアとは性状が異なります。
線維筋痛症
広範囲の慢性疼痛・全身の筋肉痛が特徴ですが、帯状疱疹の既往がなく、デルマトームに一致しない点で区別されます。
複合性局所疼痛症候群(CRPS)
外傷後に生じる難治性疼痛で、アロディニア・灼熱感などPHNと共通する症状がありますが、帯状疱疹の既往と神経支配領域への一致がない点で区別されます。
7. 【治療法①】プレガバリン・ミロガバリン(神経障害性疼痛治療薬)
プレガバリン(リリカ)
プレガバリンはPHNに対して保険適応を持つ神経障害性疼痛の第一選択薬のひとつです。電位依存性Ca²⁺チャネルのα2δサブユニットに結合し、神経の過剰な興奮・異常な電気信号の発生を抑制することで疼痛を緩和します。
用法・用量: 通常150mg/日から開始し、効果と副作用を確認しながら最大600mg/日まで増量します。
効果: 複数のRCT(ランダム化比較試験)でプレガバリンのPHNに対する有効性が確認されており、疼痛の強度・睡眠障害・QOLの改善が示されています。
主な副作用: 眠気・めまい・体重増加・浮腫。高齢者では特に転倒リスクに注意が必要です。腎機能に応じた用量調整が必要です。
ミロガバリン(タリージェ)
2019年に日本で承認されたプレガバリンと同じ作用機序の薬剤です。プレガバリンと比較して、Ca²⁺チャネルのα2δサブユニットへの結合特性が異なり、中枢・末梢での作用の違いが期待されています。
用法・用量: 通常10mg/日から開始し、最大30mg/日まで増量します。
主な副作用: 眠気・めまい。プレガバリンと比較して副作用が少ない可能性が示されています。
8. 【治療法②】三環系抗うつ薬(アミトリプチリン等)
特徴
三環系抗うつ薬(TCA)はセロトニン・ノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、下行性疼痛抑制系を強化することで神経障害性疼痛を緩和します。PHNに対して長年使用されてきた治療薬で、エビデンスも豊富です。
代表的な薬剤
アミトリプチリン(トリプタノール) 最も広く使用される三環系抗うつ薬で、PHNへの有効性が確認されています。10〜25mgの少量から開始し、効果・副作用を確認しながら調整します(抗うつ効果を目的とした用量より少量で使用します)。
ノルトリプチリン アミトリプチリンの活性代謝物で、副作用プロファイルがやや良好とされています。
主な副作用と注意点
口渇・眠気・便秘・排尿困難・起立性低血圧・心電図変化(QT延長)。高齢者では転倒・認知機能への影響に特に注意が必要です。緑内障・前立腺肥大症・重篤な心疾患のある方には禁忌または慎重投与です。
9. 【治療法③】オピオイド鎮痛薬
適応
プレガバリン・三環系抗うつ薬などの第一選択薬で効果が不十分な難治性PHNに対して、オピオイド鎮痛薬が使用されることがあります。
代表的な薬剤
トラマドール(トラマール・ワントラム) 弱オピオイドで、μオピオイド受容体への作用とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用の両方を持ちます。PHNに対して有効性が示されており、依存リスクが純粋なオピオイドより低いとされています。
オキシコドン(オキシコンチン)・モルヒネ 中等度〜重度の難治性PHNに対して使用されることがありますが、依存性・便秘・眠気などの副作用管理が必要であり、専門医による慎重な管理が必要です。
注意点
オピオイドは長期使用における依存性・耐性形成のリスクがあるため、単独での長期使用は避け、他の治療と組み合わせながら最小有効用量での使用が推奨されます。
10. 【治療法④】外用薬(リドカイン・カプサイシン)
リドカイン外用薬(ペンレステープ等)
局所麻酔薬であるリドカインをテープ・ゲル状にした外用薬です。局所の神経の異常な電気信号を遮断することで、アロディニアを含む局所の疼痛を緩和します。
特徴: 全身への吸収が少なく全身性副作用が少ない。特にアロディニア(衣服が触れると痛い)に有効なことがあります。
カプサイシン外用薬
唐辛子の成分であるカプサイシンを高濃度で含む外用薬(パッチ剤)で、TRPV1(カプサイシン受容体)を過剰刺激することでC線維の機能を一時的に不活性化させ、疼痛を緩和します。
特徴: 高濃度パッチ(8%)は医療機関での処置として施行され、1回の処置で数ヶ月の疼痛緩和効果が期待できます。
11. 【治療法⑤】神経ブロック療法
薬物療法で十分な効果が得られない場合、ペインクリニック(麻酔科・疼痛外来)と連携して神経ブロック療法が行われることがあります。
硬膜外ブロック
硬膜外腔(脊髄を覆う膜の外側)に局所麻酔薬・ステロイドを注入することで、神経の炎症・異常信号を遮断します。胸部・腹部・下肢のPHNに用いられます。
星状神経節ブロック
頸部の星状神経節(自律神経の神経節)に局所麻酔薬を注入します。上肢・顔面・頸部のPHNに有効なことがあります。
三叉神経ブロック
顔面・頭部のPHNに対して行われる神経ブロックです。
脊髄刺激療法(SCS)
難治性PHNに対して、脊髄に微弱な電気刺激を与えることで疼痛を緩和する方法です。高度専門施設での対応が必要です。
12. 【治療法⑥】その他の治療・補助療法
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
デュロキセチン(サインバルタ)などのSNRIは、下行性疼痛抑制系を強化することで神経障害性疼痛に有効とされています。三環系抗うつ薬より副作用が少ない傾向があります。
抗けいれん薬(ガバペンチン)
プレガバリンと同様の作用機序を持つ薬剤で、PHNに対する有効性が示されています。日本ではPHNへの保険適応はありませんが、プレガバリン・ミロガバリンが使用できない場合の選択肢となります。
非薬物療法
- 鍼治療(針灸): 補助的な疼痛緩和効果が報告されています
- 経皮的電気神経刺激(TENS): 電気刺激を用いた疼痛緩和法
- 心理療法(認知行動療法): 慢性疼痛に伴う抑うつ・不安・破局的思考への対処
- 睡眠管理: 睡眠障害はPHNの痛みを増悪させるため、睡眠の質の改善が重要
13. PHNの治療ステップ(治療の進め方)
PHNの治療は段階的に行います。
STEP 1:第一選択薬の開始 プレガバリン(またはミロガバリン)と三環系抗うつ薬(またはSNRI)を単独または組み合わせで開始します。効果・副作用を評価しながら用量を調整します(4〜8週間で効果を評価)。
STEP 2:外用薬の追加 局所のアロディニアが強い場合はリドカイン外用薬を追加します。全身への副作用がないため、高齢者にも使いやすい選択肢です。
STEP 3:オピオイドの追加・変更 第一選択薬で効果が不十分な場合、トラマドールなどの弱オピオイドを追加・変更します。
STEP 4:ペインクリニック連携・神経ブロック 薬物療法で十分な効果が得られない難治性PHNに対して、ペインクリニック(麻酔科・疼痛外来)へ紹介し、神経ブロック療法・脊髄刺激療法などを検討します。
STEP 5:心理的サポート・リハビリ 慢性疼痛に伴う抑うつ・不安・QOL低下に対して、心理療法・精神科・心療内科との連携を行います。
14. PHNを予防するために——帯状疱疹の早期治療の重要性
PHNの最大の予防策は帯状疱疹の早期・適切な治療
PHNへの移行を防ぐために最も重要なのは、帯状疱疹が発症した際に早期(発疹出現後72時間以内)に抗ウイルス薬治療を開始することです。
主な抗ウイルス薬(帯状疱疹治療):
- バラシクロビル(バルトレックス):500mg×6錠/日、7日間
- アシクロビル(ゾビラックス):200mg×25錠/日、7日間(または点滴)
- ファムシクロビル(ファムビル):250mg×3錠/日、7日間
抗ウイルス薬の早期投与は、ウイルス増殖を抑制することで神経へのダメージを最小化し、PHN移行リスクを有意に低下させることが複数の臨床試験で示されています。
急性期の疼痛管理も重要
帯状疱疹急性期の疼痛が強いほどPHNリスクが高まります。急性期からNSAIDs・アセトアミノフェン・必要に応じてオピオイドや神経ブロックを用いた適切な疼痛管理を行うことがPHN予防に役立つとされています。
「様子を見ない」ことが重要
「発疹が出てきたけど、様子を見よう」という判断は非常に危険です。帯状疱疹は発疹出現後72時間が治療の勝負です。「体の片側にピリピリ・ズキズキした痛みが出てきた」「赤い発疹が帯状に出てきた」と感じたら、すぐに皮膚科を受診してください。
15. 帯状疱疹ワクチンによるPHN予防
帯状疱疹の発症そのものを予防・軽症化することで、PHNのリスクを下げることができます。
不活化ワクチン(シングリックス)
2020年に日本で承認された組換えサブユニットワクチンで、現在最も予防効果が高いワクチンです。
- 帯状疱疹の予防効果: 約97%(50歳以上)
- PHNの予防効果: 約91%(50歳以上)
- 接種方法: 2回接種(2ヶ月間隔)
- 費用: 自費(保険適応なし)、1回約22,000〜25,000円程度(2回で約44,000〜50,000円)
- 対象: 50歳以上の方(免疫不全者は18歳以上)
生ワクチン(ビケン)
従来から使用されている水痘ウイルスの弱毒化生ワクチンです。
- 帯状疱疹の予防効果: 約51%
- PHNの予防効果: 約67%
- 接種方法: 1回接種
- 費用: 自費(一部自治体で補助あり)、約7,000〜8,000円程度
- 対象: 50歳以上の方
| 比較 | シングリックス(不活化) | ビケン(生ワクチン) |
|---|---|---|
| 帯状疱疹予防効果 | 約97% | 約51% |
| PHN予防効果 | 約91% | 約67% |
| 接種回数 | 2回 | 1回 |
| 免疫不全者への使用 | 可能 | 不可 |
| 費用(目安) | 約44,000〜50,000円(2回分) | 約7,000〜8,000円 |
| 効果持続期間 | 10年以上 | 5〜10年 |
16. PHNが日常生活・心理面に与える影響
PHNの痛みは患者のQOL(生活の質)に多大な影響を与えます。
日常生活への影響
- 衣服の着脱・入浴・移動が困難
- 仕事・家事・社会活動への重大な支障
- 食欲低下・体重減少
睡眠への影響 PHN患者の約50〜70%が睡眠障害を訴えます。夜間の痛みによる不眠は、疼痛をさらに増悪させる悪循環につながります。
心理・精神面への影響
- うつ病・抑うつ状態:PHN患者の約25〜40%に合併
- 不安症
- 慢性疼痛による絶望感・自己否定
社会的影響
- 就労困難・休職
- 対人交流の減少・社会的孤立
PHNの治療は疼痛そのものの治療だけでなく、睡眠・精神的健康・社会参加への包括的なサポートが重要です。
17. よくある質問(FAQ)
Q. 帯状疱疹の発疹は治ったのに痛みが残っています。いつ治りますか?
A. PHNの経過は個人差が大きく、数ヶ月で改善する方もいれば、数年にわたって持続する方もいます。適切な治療を継続することが重要です。「発疹が治れば痛みも治る」という認識は誤りで、PHNは積極的な治療が必要な状態です。早めに皮膚科・ペインクリニックを受診してください。
Q. 帯状疱疹後神経痛は何科を受診すればよいですか?
A. まずは皮膚科に相談することをお勧めします。帯状疱疹の診断・急性期治療は皮膚科が専門です。PHNへの移行が確認された場合は、ペインクリニック(麻酔科・疼痛外来)・神経内科との連携が必要なケースもあります。名古屋あおいクリニックでは、PHNの初期評価・薬物療法を行いながら、必要に応じて専門機関への紹介も対応しています。
Q. リリカ(プレガバリン)を飲んでいますが眠気がひどいです。
A. プレガバリンの眠気は最も多い副作用のひとつです。少量から開始してゆっくり増量すること、就寝前に多めの量を服用するといった工夫が有効なことがあります。眠気が強く日常生活に支障が出る場合は、用量の調整や他の薬剤(ミロガバリン・三環系抗うつ薬等)への変更を担当医に相談してください。
Q. 帯状疱疹ワクチンを打てば二度とかかりませんか?
A. 完全な予防ではありませんが、シングリックス(不活化ワクチン)では帯状疱疹発症の約97%、PHNの約91%を予防できるとされています。帯状疱疹に罹患した後でも、再発予防目的でワクチン接種は可能です(発症から少なくとも6ヶ月〜1年後が推奨されることが多いです。担当医に相談してください)。
Q. 「帯状疱疹はうつる」と聞きましたが本当ですか?
A. 帯状疱疹そのものは、水痘の免疫を持たない方(特に乳幼児・妊婦・免疫不全者)に水疱の内容液を介して感染すると、水ぼうそう(水痘)を引き起こす可能性があります。ただし、帯状疱疹から帯状疱疹はうつりません(帯状疱疹への感染には体内にウイルスが潜伏していることが前提です)。水疱が完全に痂皮化(かさぶた)するまでの期間、免疫のない方との密接な接触は避けてください。
Q. 高齢の親が帯状疱疹の痛みが続いています。どうすれば良いですか?
A. 「帯状疱疹の発疹が治れば痛みも治る」と放置しているケースが多いですが、PHNは積極的な治療が必要です。痛みが3ヶ月以上続いている場合は特に、皮膚科・ペインクリニックを受診して適切な治療を受けることが重要です。高齢者のPHNは抑うつ・不眠・QOL低下につながりやすく、早めの対応が必要です。
18. 名古屋あおいクリニックでの診療について
名古屋市東区にある**名古屋あおいクリニック(皮膚科)**では、帯状疱疹の急性期治療からPHNの診断・薬物療法まで対応しています。
当院で対応できる主な内容
- 帯状疱疹の早期診断・抗ウイルス薬治療
- PHNの診断・重症度評価
- 神経障害性疼痛治療薬の処方(プレガバリン・ミロガバリン・三環系抗うつ薬・SNRI等)
- 外用薬(リドカイン)処方
- 必要に応じてペインクリニック・神経内科への紹介
- 帯状疱疹ワクチン(シングリックス・ビケン)の接種相談
- PHNに伴う睡眠障害・心理的影響への対応相談
こんな方はぜひご相談ください
- 帯状疱疹の発疹が治ったのに痛みが続いている
- 衣服が触れるだけで痛い・夜も眠れないほど痛い
- ビリビリ・ズキズキ・焼けるような痛みが何ヶ月も続いている
- 帯状疱疹と診断されたが治療が十分でなかったかもしれない
- 帯状疱疹ワクチンを打ちたい
- 高齢の家族が帯状疱疹の痛みで苦しんでいる
「発疹が治れば痛みも治る」は誤解です。帯状疱疹後の痛みは適切な治療で改善できます。一人で抱え込まず、まずはご相談ください。
まとめ
- 帯状疱疹後神経痛(PHN)は帯状疱疹後3ヶ月以上痛みが持続する状態で、約10〜30%が移行します
- 原因は末梢神経の損傷と中枢感作による複合的な神経障害です
- 高齢・急性期の強い痛み・抗ウイルス薬の開始遅延がPHNのリスクを高めます
- アロディニア(触れるだけで痛い)・灼熱感・ビリビリ感が特徴的な症状です
- 治療はプレガバリン・ミロガバリン・三環系抗うつ薬・外用薬・神経ブロックを組み合わせます
- 帯状疱疹発症から72時間以内の抗ウイルス薬開始がPHN予防の最大の手段です
- シングリックスワクチンで帯状疱疹・PHNを約90%以上予防できます
- 「発疹が治れば痛みも治る」は誤解で、PHNは積極的な治療が必要な慢性疼痛です
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