慢性前立腺炎・慢性骨盤痛症候群——「異常なし」と言われた会陰部の痛み。原因が一つではない理由と、多面的な治療を名古屋あおいクリニック(名古屋市東区・泌尿器科)が詳しく解説

慢性前立腺炎・慢性骨盤痛症候群——「異常なし」と言われた会陰部の痛み。原因が一つではない理由と、多面的な治療を名古屋あおいクリニック(名古屋市東区・泌尿器科)が詳しく解説

「肛門と陰嚢の間が、ずっと重苦しい」「座っていると痛みが強くなり、デスクワークがつらい」「頻尿と残尿感が続くが、検査では細菌が出ない」「射精のときや、その後に痛む」「抗生物質を何度も飲んだが、良くならない」「複数の病院で『異常なし』と言われた」「もう治らないのではないかと、不安でたまらない」——慢性前立腺炎・慢性骨盤痛症候群は、泌尿器科で最も「行き場を失いやすい」疾患のひとつです。

そして、この記事で最もお伝えしたいことが3つあります。

第一に、これは実在する疾患です。

検査で異常が出ないからといって、「気のせい」ではありません。

第二に、「前立腺の細菌感染」ではないことがほとんどです。

前立腺炎と呼ばれていますが、実際には

  • 骨盤底の筋肉の緊張
  • 神経の過敏化
  • 心理的な要因

——といった複数の要素が絡み合っています。

だから、抗生物質だけでは治りません。

第三に、治療の方向性があります。

「完治」を目指すというより、症状をコントロールし、生活を取り戻すという考え方になります。

名古屋市東区(高岳駅・新栄町駅)の名古屋あおいクリニック泌尿器科が、この疾患の正体、なぜ治りにくいのか、そして多面的な治療について、詳しく解説します。


目次

  1. 前立腺炎には、4つのタイプがあります【比較表】
  2. 【重要】最も多いのは「細菌がいないタイプ」です
  3. 主な症状【比較表】
  4. 【最重要】「前立腺だけの問題」ではありません
  5. 骨盤底筋の緊張——重要な要素です
  6. 神経の過敏化——痛みが続く仕組み
  7. 心理的な要因について
  8. どんな人に多いのか【比較表】
  9. 悪化させる要因【比較表】
  10. 【重要】急性前立腺炎との違い——緊急を要する場合
  11. 鑑別すべき病気【比較表】
  12. 検査——「異常なし」の意味
  13. 【重要】症状のタイプに応じた治療という考え方
  14. 治療①:薬物療法【比較表】
  15. 【最重要】抗菌薬を漫然と続けないでください
  16. 治療②:骨盤底のリラクゼーション
  17. 【重要】骨盤底筋は「締める」のではなく「緩める」
  18. 治療③:生活の工夫【比較表】
  19. 【当院ならでは】心理面へのアプローチ
  20. 経過と見通し
  21. よくある心配事Q&A
  22. 名古屋あおいクリニックでの診療について

1. 前立腺炎には、4つのタイプがあります【比較表】

「前立腺炎」とひとくくりにされますが、実際には性質の異なる4つのタイプがあります。

分類名称特徴
I型急性細菌性前立腺炎発熱、強い痛み、排尿困難。緊急性が高い
II型慢性細菌性前立腺炎細菌が検出される。尿路感染を繰り返す
III型慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群細菌が検出されない。最も多い
IV型無症候性炎症性前立腺炎症状がなく、別の検査で偶然見つかる

圧倒的に多いのはIII型です

前立腺炎と診断される方の大部分が、このIII型にあたります。

そして、III型には細菌がいません。

だから、抗菌薬が効かないのです。


2. 【重要】最も多いのは「細菌がいないタイプ」です

名前が誤解を生んでいます

「前立腺炎」という名前から、多くの方が

「前立腺がばい菌で炎症を起こしている」

——と考えます。

しかし、III型では細菌は検出されません

尿を調べても、前立腺の分泌液を調べても、細菌は出ません。

だから「慢性骨盤痛症候群」とも呼ばれます

この名前が示すとおり、

問題は前立腺だけにあるのではなく、骨盤全体の痛みの問題として捉えられています。

抗菌薬が効かないのは、当然のことです

「何度も抗生物質を飲んだが良くならない」

——これは、治療が失敗しているのではなく、そもそも対象が違うのです。


3. 主な症状【比較表】

分類症状
痛み・不快感会陰部(肛門と陰嚢の間)、下腹部、陰嚢、鼠径部、腰、陰茎の先端、恥骨の上
排尿症状頻尿、残尿感、尿意切迫感、排尿痛、尿の勢いの低下、排尿後の不快感
射精に関連射精時の痛み、射精後の痛みや不快感の増強
その他座っていると悪化、下腹部の張り、違和感
全身・心理面疲労感、不安、気分の落ち込み、睡眠の質の低下

「会陰部の不快感」が最も特徴的です

肛門と陰嚢の間——ここに、

  • 重苦しい
  • 圧迫される感じ
  • 座ると押される感じ
  • ジンジンする
  • 何かが挟まっているような

——こうした感覚が続きます。

「痛み」と表現しにくいこともあります

鋭い痛みではなく、「不快感」「違和感」として感じられることが多く、

人に説明しにくい——これも、この疾患のつらさのひとつです。

座位で悪化します

デスクワーク、長時間の運転、自転車——これらで明らかに悪化するのが典型的です。


4. 【最重要】「前立腺だけの問題」ではありません

この章が、この記事で最も重要な部分です。

単一の原因ではありません

現在、この疾患は「複数の要素が絡み合った状態」と理解されています。

要素内容
骨盤底筋の過緊張骨盤の底の筋肉が、常に緊張している
神経の過敏化痛みを感じる仕組みが、過敏になっている
心理的要因不安、ストレス、症状への注目
炎症一部の方では、炎症の関与
排尿の問題排尿の機能の乱れ
感染ごく一部(II型)

だから、一つの薬では治りません

「原因が一つではない」ということは、

「治療も一つではない」ということです。

人によって、主な要素が異なります

  • 筋肉の緊張が中心の方
  • 神経の過敏さが中心の方
  • 不安が症状を強めている方
  • 排尿の問題が目立つ方

その方の「どの要素が強いか」を見極めて、組み合わせていく——これが、現在の標準的な考え方です。


5. 骨盤底筋の緊張——重要な要素です

多くの方で、この要素が関わっています。

何が起きているのか

骨盤の底には、内臓を支え、排尿や排便をコントロールする筋肉があります。

この筋肉が、常に緊張した状態になっていると、

  • 会陰部の痛み・圧迫感
  • 排尿の違和感
  • 射精時の痛み

——が生じ得ます。

肩こりと同じような状態です

肩の筋肉が緊張し続けると、肩こりや頭痛が起こります。

それと同じことが、骨盤の底で起きているとイメージしていただくと分かりやすいと思います。

なぜ緊張するのか

  • 長時間の座位
  • ストレス、不安
  • 痛みをかばう姿勢
  • 便秘、いきみ
  • 冷え

そして、悪循環になります

痛い → 身構える → 筋肉が緊張する → さらに痛い

この輪を断つことが、治療の重要な一部です。


6. 神経の過敏化——痛みが続く仕組み

症状が長引く方で、関わっていることがあります。

痛みが「学習」されます

痛みが長期間続くと、

痛みを伝える神経や、それを受け取る脳の側が、過敏になっていく

——ということが知られています。

その結果

  • もとの原因が治まっても、痛みだけが残る
  • 本来なら痛くない刺激でも、痛みとして感じる
  • 痛みの範囲が広がる

「気のせい」ではありません

これは、実際に神経の働き方が変化している状態です。

「検査で異常がないのに痛い」ことの、医学的な説明のひとつになります。

だから、通常の痛み止めが効きにくい

炎症を抑える薬が効かない場合、神経の過敏さに作用する薬を検討することがあります。


7. 心理的な要因について

この点は、慎重にお伝えする必要があります。

「メンタルの問題」ではありません

まず、はっきりお伝えします。

この疾患は、心因性のものではありません。

「気にしすぎ」「ストレスのせい」で片づけられるものではありません。

しかし、心理的要素は症状に影響します

痛みは、心理状態によって強く感じられたり、和らいだりします。

そして、

  • 何か月も原因不明の症状が続く
  • 複数の医療機関で「異常なし」と言われる
  • がんではないかと不安になる
  • 仕事や生活に支障が出る
  • 人に相談しにくい

——この状況が続けば、不安や抑うつが生じるのは自然なことです。

そして、それが痛みを強めます

不安 → 身構える → 筋肉が緊張 → 痛みが増す → さらに不安

この悪循環を断つことも、治療の一部になります。

「原因」と「増幅因子」は違います

心理的要因は、この疾患の「原因」ではありません。

しかし、「症状を強める要素」ではあります。

この区別を、正確にお伝えしたいと思います。


8. どんな人に多いのか【比較表】

要因内容
年齢20〜50代(比較的若い世代に多い)
職業デスクワーク、長距離運転、長時間の座位
趣味自転車、バイク(会陰部への圧迫)
生活ストレス、疲労、睡眠不足
体質冷えやすい
排便便秘、強いいきみ
その他過度の飲酒、香辛料の摂りすぎ

「働き盛り」に多い疾患です

仕事が忙しく、座っている時間が長く、ストレスも多い——こうした状況が重なる年代に集中します。

そして、この年代は「休む」ことが最も難しい年代でもあります。


9. 悪化させる要因【比較表】

要因内容
長時間の座位最大の悪化要因
自転車、バイク会陰部への直接的な圧迫
冷え骨盤内の血流低下、筋緊張
アルコール前立腺のうっ血
香辛料、刺激物症状を強めることがあります
カフェイン排尿症状の悪化
ストレス、疲労筋緊張と痛みの感じ方
便秘骨盤底への負担
射精の間隔極端に多い/少ないどちらも影響することがあります
長時間の我慢排尿を我慢しない

「デスクワーク」との相性が最悪です

座り続けることが、この疾患を最も悪化させます。

しかし、仕事を変えるわけにはいきません。

だからこそ、「座り方」と「休憩の取り方」の工夫が重要になります。(第18章)


10. 【重要】急性前立腺炎との違い——緊急を要する場合

混同してはいけない状態があります。

急性細菌性前立腺炎(I型)

これは、緊急性の高い状態です。

症状内容
発熱38℃以上の高熱、悪寒
強い排尿痛
排尿困難、尿閉尿が出なくなる
強い会陰部痛
全身のだるさ敗血症に至ることも

慢性のものとは、まったく異なります

急性細菌性(I型)慢性骨盤痛症候群(III型)
発熱あり(高熱)なし
発症急激緩やか、長期間
細菌検出される検出されない
緊急性高い低い(ただしつらい)
治療抗菌薬が有効多面的な治療

発熱を伴う場合は、すぐに受診してください

高熱、悪寒、尿が出ない——これらがあれば、その日のうちに受診してください。

抗菌薬による速やかな治療が必要です。


11. 鑑別すべき病気【比較表】

「会陰部・下腹部の痛み」の背景に、他の病気があることもあります。

疾患確認のポイント
尿路結石側腹部の激痛、血尿
膀胱がん痛みを伴わない血尿
間質性膀胱炎尿が溜まると痛み、排尿で軽快する
精巣上体炎陰嚢の腫れ・痛み、発熱
性感染症(クラミジア・淋菌)尿道の分泌物、排尿痛。若年者では要確認
鼠径ヘルニア鼠径部の膨らみ
肛門疾患(痔、裂肛)排便時痛、出血
腰椎の疾患下肢のしびれ、腰痛
神経の障害感覚の異常
前立腺がん通常、早期には痛みは伴いません

まず、これらを除外します

「慢性骨盤痛症候群」は、他の原因を除外したうえで診断されます。

そのため、初回はある程度の検査が必要になります。

尿路結石・血尿については、当院ブログの各記事もご覧ください。


12. 検査——「異常なし」の意味

行う検査

検査目的
問診症状の部位、経過、生活状況。最も重要
検尿感染、血尿の確認
尿培養細菌の有無
超音波検査前立腺、膀胱、残尿、腎臓
PSA年齢に応じて。前立腺炎でも上昇します
性感染症の検査必要に応じて
直腸診前立腺の圧痛、硬さ

「異常なし」は「問題なし」ではありません

この疾患では、

  • 血液検査:正常
  • 検尿:正常
  • 超音波:正常

——となることが、むしろ普通です。

なぜなら、臓器そのものが壊れているわけではないからです。

だから、行き場を失います

「検査は正常です」と言われ、

「では、この痛みは何なのか」

——という状態で、次の病院を探すことになります。

当院では、そこで終わりにしません

検査が正常であることを確認したうえで、

「では、どの要素が症状を作っているのか」を一緒に考えます。

それが、この疾患の診療です。


13. 【重要】症状のタイプに応じた治療という考え方

近年、この疾患の治療では「表現型に応じたアプローチ」が重視されています。

つまり、その人に合わせて組み立てます

症状の中心が何かによって、治療を選びます。

その方の主な要素重点を置く治療
排尿症状が中心排尿に作用する薬
筋肉の緊張が中心骨盤底のリラクゼーション、温熱
痛みが中心鎮痛薬、神経の過敏さへの薬
不安・気分の落ち込みが強い心理面へのアプローチ
感染が疑われる抗菌薬
前立腺の炎症所見がある抗炎症治療

「一つの薬で全員が治る」のではありません

この疾患に、万能薬はありません。

その代わり、複数のアプローチを組み合わせることで、改善が期待できます。

時間をかけて調整します

「これを試して、効かなければ次」

——という進め方になります。

そのため、継続して相談できる医療機関があることが重要です。


14. 治療①:薬物療法【比較表】

分類内容対象
α1遮断薬尿道・前立腺の平滑筋をゆるめる排尿症状が強い方(適応外使用を含む)
消炎鎮痛薬痛みを抑える痛みが強い時期
抗菌薬初回に試すことはあるが、長期使用はしない感染が疑われる場合
漢方薬八味地黄丸、桂枝茯苓丸、竜胆瀉肝湯、清心蓮子飲など体質・症状に応じて。有用なことが多い
神経障害性疼痛の薬神経の過敏さに作用(適応外使用を含む)痛みが長期化している方
筋緊張を和らげる薬骨盤底の緊張に筋緊張が強い方

漢方薬が有用なことがあります

この疾患では、漢方薬が選択肢として重要です。

  • 冷えや血流の問題に対応できる
  • 長期に使いやすい
  • 全身の状態を整える

体質と症状に応じて選択します。


15. 【最重要】抗菌薬を漫然と続けないでください

この点を、強くお伝えします。

初回は、試すことがあります

細菌性の可能性を完全には否定できないため、最初に抗菌薬を試すことは、実際に行われます。

しかし、効かなければ続けません

2〜4週間程度使用して効果がなければ、細菌性ではないと考えます。

そこで、方針を切り替える必要があります。

漫然と続けることの問題

  • 効果がない
  • 耐性菌を生む
  • 腸内細菌への影響
  • 「治療している」という感覚だけが残り、他の治療に進めない
  • 費用と時間の浪費

「何か月も抗生物質を飲んでいる」という方へ

一度、方針を見直すことをおすすめします。

別のアプローチによって、状況が変わる可能性があります。


16. 治療②:骨盤底のリラクゼーション

筋緊張が関わっている方では、非常に重要な治療です。

温める

最も手軽で、効果を実感しやすい方法です。

方法内容
座浴(お尻をお湯につける)洗面器やお風呂で、10〜15分程度
入浴シャワーで済ませず、湯船に
カイロ下腹部、腰、お尻
服装下半身を冷やさない

「温めると楽になる」——これは多くの方が実感されます。

ストレッチ

骨盤周囲の筋肉をゆるめます。

  • 股関節のストレッチ
  • お尻の筋肉のストレッチ
  • 腰、太もも裏
  • 深呼吸(腹式呼吸)

痛みが出ない範囲で、ゆっくり行ってください。

深い呼吸

息を吐くときに、骨盤の底の力を抜くイメージで。

緊張の緩和に有効です。


17. 【重要】骨盤底筋は「締める」のではなく「緩める」

これは、非常に重要な注意点です。

尿もれの体操とは、逆です

女性の尿もれに対しては、「骨盤底筋を締める」トレーニングを行います。

しかし、慢性骨盤痛症候群では、多くの場合、逆です。

なぜか

この疾患では、骨盤底筋がすでに「緊張しすぎている」状態にあることが多いためです。

そこにさらに締める運動を加えると、症状が悪化することがあります。

目指すのは「脱力」です

  • 息を吐きながら、骨盤の底の力を抜く
  • 温める
  • ストレッチ
  • 緊張していることに気づく

「鍛える」のではなく「ゆるめる」——この方向性が、多くの方に当てはまります。

ただし、個人差があります

すべての方に当てはまるわけではありません。

自己判断でトレーニングを始める前に、ご相談ください。


18. 治療③:生活の工夫【比較表】

対策具体的な内容
座り続けない1時間に一度は立つ。 これが最も重要
クッションを使う円座、ドーナツ型など、会陰部への圧迫を減らすもの
自転車を控える症状が強い時期は避ける。サドルの工夫も
温める座浴、入浴、下半身の保温
アルコールを控える前立腺のうっ血を招きます
刺激物を控える香辛料、カフェイン
便秘を改善するいきみによる負担を減らす
適度な運動ウォーキングなど。血流の改善
排尿を我慢しない—
睡眠疲労は症状を強めます

「1時間に一度立つ」が最も現実的です

デスクワークの方に、まずお願いすることです。

  • タイマーをセットする
  • コピーやトイレのついでに立つ
  • 立って作業できる環境があれば活用する

これだけで、症状が変わる方がいます。

クッションの効果

会陰部への圧迫を減らすクッションは、実際に有用です。

「職場で使うのが恥ずかしい」という方もいらっしゃいますが、

目立たないタイプもあります。試す価値はあります。


19. 【当院ならでは】心理面へのアプローチ

この章は、当院の構成に関わる内容です。

不安が、症状を強めます

この疾患では、

  • 「がんではないか」という不安
  • 「一生治らないのでは」という恐れ
  • 症状に注意が向き続けること
  • 何をしても改善しないことへの絶望

——これらが、痛みの感じ方を強めます。

そして、抑うつを伴うことがあります

長期間、原因不明の症状に苦しみ、周囲に理解されない。

この状況で、気分が落ち込むのは自然なことです。

「心の問題」と言われることのつらさ

多くの方が、「ストレスでしょう」「気にしすぎ」と言われた経験をお持ちです。

その言葉が、どれほど本人を追い詰めるか——私たちは理解しています。

当院は泌尿器科と精神科を併設しています

  • 泌尿器科で、身体の評価と治療を行う
  • 必要に応じて、不安や抑うつの側面に対応する

「身体か、心か」ではなく、両方から取り組めることが、当院の役割だと考えています。

そして、心理面への対応は「気のせいだから」という意味ではありません。

痛みを強める要素を減らす、という明確な治療的意図があります。


20. 経過と見通し

「治らない病気」ではありません

多くの方で、症状は時間とともに軽減していきます。

ただし、波があります

  • 良くなる時期
  • 疲労やストレスで悪化する時期
  • 季節(冬に悪化しやすい)

この波を、「治っていない」と受け取らないでください。

波があるのが、この疾患の通常の経過です。

目標は「完治」ではなく「生活を取り戻すこと」

症状がゼロになることを目指すと、達成できずに苦しくなります。

現実的な目標は、

  • 仕事に支障が出ない程度に抑える
  • 座っていられる時間を延ばす
  • 症状があっても、日常生活を送れる
  • 悪化したときの対処法を持っている

——これらです。

「付き合い方」を身につける

多くの方が、時間をかけて、自分に合った対処法を見つけていかれます。

「悪化したら温める」「疲れたら早めに休む」「座り続けない」

——こうした対処が身につくと、生活の質は大きく変わります。


21. よくある心配事Q&A

Q. 検査で異常なしと言われました。気のせいでしょうか?

A. 気のせいではありません。 この疾患では、検査が正常であることがむしろ普通です。臓器が壊れているのではなく、筋肉の緊張や神経の過敏さが関わっているためです。「異常なし」は「問題なし」ではありません。

Q. がんではないでしょうか?

A. 前立腺がんは、早期には痛みを伴いません。 また、必要に応じてPSA検査や超音波検査で確認します。心配な点は、検査で確認したうえでご説明します。

Q. 抗生物質を何か月も飲んでいますが、良くなりません。

A. 細菌がいないタイプである可能性が高いです。 2〜4週間試して効果がなければ、方針を切り替えるべきです。漫然と続けることは、耐性菌のリスクもあり推奨されません。

Q. 骨盤底筋のトレーニングをしたほうがよいですか?

A. 注意が必要です。 この疾患では、筋肉が緊張しすぎていることが多く、「締める」運動でかえって悪化することがあります。目指すのは「ゆるめる」ことです。自己判断で始める前にご相談ください。

Q. 座っているとつらいのですが、仕事は続けられますか?

A. 続けられます。 ただし、1時間に一度は立つ、クッションを使うといった工夫が必要です。これだけで変わる方がいます。

Q. 自転車は乗ってよいですか?

A. 症状が強い時期は控えることをおすすめします。 会陰部への直接的な圧迫が、症状を悪化させます。落ち着いてから、サドルの工夫をしたうえで再開を検討しましょう。

Q. ストレスが原因ですか?

A. 原因ではありません。 ただし、症状を強める要素ではあります。 「気のせい」ではなく、痛みの感じ方に影響するという意味です。この違いを、正確にお伝えしたいと思います。

Q. 治りますか?

A. 多くの方で、時間とともに軽減します。 ただし、良くなったり悪くなったりする波があります。「完治」より「生活に支障が出ない状態を保つ」ことを目標にすると、現実的です。

Q. 性感染症ではないですか?

A. 若年の方では、確認する価値があります。 クラミジアなどが背景にあることもあります。必要に応じて検査を行います。

Q. 何科に行けばよいですか?

A. 泌尿器科です。 ただし、不安や気分の落ち込みを伴う場合、そちらへの対応も必要になります。当院は両方を標榜しているため、あわせてご相談いただけます。


22. 名古屋あおいクリニックでの診療について

名古屋市東区・高岳駅から徒歩4分の**名古屋あおいクリニック(皮膚科・美容皮膚科・内科・泌尿器科・児童精神科・精神科)**では、慢性前立腺炎・慢性骨盤痛症候群のご相談に対応しています。

当院での対応内容

  • 詳細な問診による症状のタイプの評価
  • 検尿・尿培養・超音波検査
  • PSA検査(年齢に応じて)
  • 他疾患の鑑別(尿路結石、膀胱がん、間質性膀胱炎、性感染症など)
  • 性感染症の検査
  • 急性細菌性前立腺炎との鑑別
  • 症状に応じた薬物療法(α1遮断薬、鎮痛薬、漢方薬など)
  • 抗菌薬治療の適切な期間管理
  • 骨盤底のリラクゼーションに関する指導
  • 生活の工夫に関する具体的な助言
  • 精神科との連携(不安・抑うつを伴う場合)
  • 継続的なフォローアップ

こんな方はぜひご相談ください

  • 会陰部(肛門と陰嚢の間)が重苦しい、痛い
  • 座っていると悪化し、デスクワークがつらい
  • 頻尿・残尿感が続くが、細菌が出ない
  • 射精のとき、またはその後に痛む
  • 下腹部、鼠径部、腰に不快感がある
  • 抗生物質を何度も飲んだが、良くならない
  • 複数の病院で「異常なし」と言われた
  • がんではないかと不安でたまらない
  • 自転車に乗ると悪化する
  • もう治らないのではないかと諦めかけている

「慢性前立腺炎のご相談で、多くの方が『どこに行っても異常なしと言われる』とおっしゃいます。検査が正常なのは、この疾患では当然のことです。臓器が壊れているのではなく、骨盤底の筋肉の緊張や、神経の過敏さ、そして長引く不安——それらが絡み合って症状を作っているからです。だから、抗生物質だけでは治りません。そして、一つの薬で全員が良くなることもありません。その方の症状の中心が何かを見極め、組み合わせていく。時間はかかりますが、方向性はあります。『気のせい』でも『一生このまま』でもありません。長く悩んでこられた方こそ、一度整理させてください。」


名古屋あおいクリニックのご案内

名古屋あおいクリニック 皮膚科・美容皮膚科・内科・泌尿器科・児童精神科・精神科

〒461-0005 愛知県名古屋市東区東桜2-4-1 第三コジマビル6階

【TEL】052-737-7117

【診療時間】 10:30~13:30 14:30~19:00

【休診日】不定休

【アクセス】 高岳駅より徒歩4分 新栄町駅より徒歩5分

【ホームページ】https://www.nagoya-aoi-clinic.com/ 【Instagram】https://www.instagram.com/nagoya.aoi.clinic

オンライン予約はホームページより24時間受け付けております。 皆さまのご来院を心よりお待ちしております。

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